島根県の「かつべ牛」ファンで作る「勝部(かつぶ)」ブログ。著名なライターさんやグルメなタレントさんに実際にかつべ牛を食べて頂き、その感想を記事にしていきます。
そして「笑っていい●も」のように次のライターさんを紹介頂き、新たな記事を更新してファンを増やしていく試みです!毎月29日、肉の日に更新していきますのでお楽しみに!
第2回ゲストは!?
記念すべき第1回ゲスト浜崎美保さんにご紹介いただいた、フードライターのキンマサタカさんです。
ここからは、キンマサタカさんの記事をご覧ください。
うまいものに目がありません。
おいしいものがあると聞いたら、私はどこにでも飛んでいきます。実際にそれがお仕事につながることがあります。おいしいものを知っておいて損はありません。
この日向かったのは関内、というより野毛です。
野毛といえば、酒飲みの聖地として知られていますが、この街のディープさは、他の追随を許しません。所狭しと軒を連ねる飲み屋。新しい店から、昭和から変わらぬ佇まいのスナックまで。それはまるでひとつのテーマパークのようです。
「焼肉太田」は喧騒から少し外れた通り沿いにありました。きれいな店構えで、ガラス越しにチラッと見えた店内は整然としてて、そういう焼肉店は信頼できます。
中に入ると、イチロー似のイケメン店主が迎えてくれました。
今日のお目当ては、、、
「幻の牛」と言われるかつべ牛です。島根県の出雲地方。豊かな自然に囲まれた広大な牧場でかつべ牛を育てるのは勝部さんです。
「勝部さん」が育てた牛だから「かつべ牛」。これは我が子同様に愛を持って育てているか、あるいは自信の証でしょう。牧場主の勝部さんは自分の牛の販売先のほどんどを把握しているそうで、「誰に食べてもらったか知る」ことが大きなモチベーションになっているようです。
幻の牛と言われるかつべ牛の年間の出荷量は50頭です。
50!?
幻と言いつつ実は意外と流通してるんじゃないのと思ってごめんなさい。50頭しか出回らないのなら確かに幻でしょう。日本全国47自治体に均等に配分したら、1県に1頭しかやってこない計算になります。そのせいか、私はこの年になるまでかつべ牛の存在を知りませんでした。関東で食べられる店も本当に限られていて、「焼肉太田」さんはその一つ。ということで今回はこちらのお店が舞台となったわけです。
ちなみに
この記事はリレー連載なので、第1回のゲスト、TFM「スカイロケットカンパニー」の人気パーソナリティ浜崎美保ちゃんもこの日は一緒でした。美保ちゃんは見た目は可憐だけど、鹿児島生まれとあって、とにかくお酒を飲むし、よく食べる。食リポをお願いするなら、最高の人選です。彼女をキャスティングしたのはよほど有能は人なんでしょう。
席に座ってお酒を頼みます。私は痛風なのでビール以外でお願いいたします。
お酒と一緒に出てきたお肉はサーロインとシャトーブリアンでした。店主が横について焼いてくれます。
横にいる美保ちゃんは肉を食べるたび、卓球のラリーのように間髪入れず的確なコメントを残します。
「サーロインは霜降りが印象的だけど、さっぱりしてくどくないんですね」
「シャトーブリアンは赤身の旨みをはっきりと感じられますね」
「ササミと上ロースは甘めの醤油との相性が抜群です!」
それを聞いて嬉しそうな顔をする店主。それが彼女の仕事とはいえ、やはり売れっ子は違いますね。コメントがかゆいところに手が届くようで、私はそれに激しく頷きながら、バクバクと肉を食べます。当たり前ですが酒も進みます。みんなが笑顔になるたび、新しいお皿がどんどんテーブルに運ばれてきます。
気がつけば肉とお酒がお腹に溜まっていきます。おいしい肉と、おいしいお酒、本当に幸せな時間です。ああ最高だ。これって仕事だっけ。そうだ仕事だった。
あわてて背筋を伸ばし、そこではたと気づくわけです。
私たちの前に出てきた、サーロイン、そしてシャトーブリアン、上ロースにササミ。高級肉の代名詞といえるお肉たちは霜降りもたっぷりでしたから、普通のお店で注文したら「脂っこい」と思う人もいるかもしれません。
私も40歳を過ぎて、めっきり脂には弱くなりました。カルビを1〜2枚いただけば、大満足という具合です。
でも、この焼肉太田さんでいただいたかつべ牛は、いくら食べてもまったくもたれない。というか、いくらでもいけそうなんです。
「すいません、もっと肉をください」
なぜなんだろう。今日の俺は胃の調子がいいのかもしれない。先月からジムに通い始めてよかった。そんなこと思ってたら、店主の太田さんが私の横に来てそっと囁きました。
「肉を手で触ってみてください。脂が溶け出しますから」
私の体温は36度くらいですから、これは脂の融点が低いことを意味します。なぜ脂の融点が低いかと言えば、かつべ牛はオレイン酸の含有率が高いからです。難しい話はよくわからないのですがが、オレイン酸の含有率が高いほど脂は柔らかくなるんだとか。一般的な和牛のオレイン酸含有率が50%程度で、かつべ牛は60.4%もあるんですって。
「脂の融点が低い=胃もたれしない」
そう考えていいでしょう。
そして頭を抱えます。ああ、そうなのか。このお肉はなんて罪作りなんだと。
高級店の最上級の肉と同じ満足感を与えてくれた上に、いくらでも食べられそうな錯覚さえ与えてくれる。
私は誰にも聞こえない小さな声で呟きました。
「ギルティ……」
そのあともどんどん肉がやってきましたが、私はすっかりかつべ牛の魅力に取り憑かれていることに気がついていました。もはや恋に落ちたと言ってもいいでしょう。
かつべ牛、一度でいいので食べてみてください。本当にうまいですから。
両親との食事会でもいいですし、彼女との記念日でもいいでしょう。「ハレの日」にふさわしい時間を演出してくれます。
ハレの対局にあるのがケです。
ハレ(晴れ)が「非日常」だとしたら、ケ(褻)は普段の生活、つまり「日常」を表します。家族との外食でもいいでしょう。
かつべ牛を初めて食べた時、妻と息子に食べさせたいと思いました。気取った会食なんかよりも、家族との温かい時間にかつべ牛がいてほしい。
それはきっと作り手のこだわりや温かい思いが詰まったお肉だから。
かつべ牛を食べたら語りあいましょう。そして笑顔でこう言いましょう。
「かつべ牛、最高にうまいよね!」
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キンマサタカ:フリーライター・編集者。1977年生まれ。出版社勤務後独立して現業。得意分野は肉欲と食欲。週刊誌やWEBで執筆多数、岩井ジョニ男のインスタの撮影担当。『文春にバレない密会の方法』(太田出版)、『僕には嵐がいるから』(カンゼン)などの著書がある。最高尿酸値は13、発作が出る箇所は右足首。あまりの発症回数の多さに途中でカウントを諦めた過去あり。
次回は・・・
次回ブログは、あの料理芸人さん!!魔法の万能調味料を作り出したあの方。
家庭料理から立ち飲み大衆料理、高級レストランまで全て網羅する知識があるあの芸人さんにかつべ牛を食べて頂きました!
さて、結果はいかに!?
次回も乞うご期待下さい!!